デバイスのUIがリアルなドラマは絶対信頼できる
普段(一応)Webサイトやサービスの制作・開発界隈の片隅でお仕事している身として、映画やドラマの中で登場人物が操作しているデバイスのUIが安っぽいと、いくらそれまでの展開が見事でも一気に冷めてしまいます。
もう少し具体的に書くと、
- 何某かのシステムがハッキングされた際に画面いっぱいに「WARNING!!」って文字が表示される
- 容疑者のプロフィールを表示する画面にいつスキャンしたんだか知らない全身の3Dモデルがぐるぐる回ってる
- Twitterに似せて作ったように見えるけど、大して似てないよく分からないサービス
…とか、そういうやつ。
結構な頻度でこの手のシーンに遭遇するので、おそらく見ているシーンで何が起きているのかを分かりやすく伝えるために意図してオーバーな表現を選んでいる……とは思うのですが、とはいえ「安っぽい」…と言いますが「そんなUIねーよ」としか思えない訳で。
先日始まった、NHK「17歳の帝国」は近未来の実験都市が舞台のSFドラマということで、「大豆田とわ子」と同じプロデュース陣が手掛けていたり、脚本が京アニの方だったりと期待してる反面、「UIが安っぽかったらどうしよう」という不安はオンエア直前までありました。
で、いざオンエアが始まってみると…。
17歳の帝国、デバイスのUIがリアルな時点で演出信頼できる。
— necoze / Sumito Miyauchi (@necoze) 2022年5月7日
はい、このドラマは間違いない。大丈夫。
メッセンジャーらしきサービスでのやりとりは、ちゃんとそれっぽく描かれているし、ZoomっぽいURLを踏んでビデオ会議をスタートするくだりとか、本編の大筋とは直接関係ないけど、こういう描写見ただけで「このドラマの演出は信頼できる!」と思った次第です。あと、いかにも文春オンラインっぽいレイアウトのネットニュースとか。
一方で、ウェアラブル端末を介して見えるARの描写は、大胆だけど安っぽくなく「SFドラマ見てるなー」って感じ。一方で、ナビゲーション周りの書体とかアイコンのデザインはしっかり作り込まれていて、指輪型のコントローラーを使った操作は「どこかで見たことあるし、あり得なくもなさそう」なライン。 SFとして架空の都市での生活をでっち上げつつ、細部の表現でリアリティを担保していて、すごくバランスが良い。
思えば同じプロデューサーの方が手掛けた「大豆田とわ子と3人の元夫」でも、LINEはちゃんとLINEとして描かれるし、AirDropで写真を送りつけるくだりとかの「あるある」も織り交ぜていて、「これは”分かってる”人が書いてるな」という信頼感がありました。
今回、ドラマのジャンルも放送局も違いますが、不思議と同じような信頼感があります。
…と、細かい話はさておき。
「17歳の帝国」、SFと政治と若者の群像劇のバランスが絶妙で、初回からぐっと胸を掴まれる展開だったので、ぜひ。 そして、「UIの安っぽさに冷める」タイプの方も安心です。